第16回 リスクとリターン

こんにちは、スタッフTKです。
今年の中秋の名月は、京都では雨雲に隠れてしまいました。
私TKも帰宅途中に雨に降られ、雨雲の向こうにある満月に思いを馳せながら、夜だからと人目を気にせず傘を差さずに歩いていたら、知らない男性が親切にも「兄ちゃん、えらい雨降ってんで!」と教えてくれました。

さて、稲穂が頭を垂れて、夕日にきらきらと輝く季節になりました。
一方、株式市場には世界的な暴風が吹き荒れ、自慢の船を破壊された相場師たちの涙もきらきらと輝く今日です。


そんな今週は、「一物一価の法則」について、スタッフTKがご紹介します。
一物一価とは簡単にいえばつまり、ある一つのものに2つの値段はつかないよ、ということです。
型式も年式も走行距離もアフターサービスも、なにもかも同じクルマが、A店では400万円、ほかの店で500万円であれば、誰だってA店で買いますよね。
あるいは、A店のクルマを買い占めて、500万円に値付けして再販する人がいるかもしれません。
その結果、全体的に少し値段が下がって、470万円くらいが適正な価格になるかもしれませんね。
ともかく大切なのは、ある時点のある市場において、ある特定の商品の値段は1つしかない、ということなのです。
※正確にいえば、経済学における「一物一価の法則」は、これに加えていくつかの前提があります。

ここで、ひとつの命題を紹介しましょう。
リターンの源泉は、リスクである」。
簡単そうに見えて、意外と難しい話です。
ハイリスク・ハイリターン(たとえば仮想通貨)な話と、ローリスク・ローリターン(たとえば銀行の定期預金)な話は、たくさん存在しますね。
ハイリスク・ローリターン(たとえばパチンコや競馬、といえば賛否両論あるかもしれませんが)な話も、物好きな人、博打好きな人には魅力的かもしれません。
ローリスク・ハイリターンはどうでしょう?
「いま1000万円投資すれば、未来永劫、毎月必ず200万円の配当が受けられますよ!」という話があるでしょうか。
「この100円玉を90円で、いますぐ売ります!」なんてことがあるでしょうか。
リスクを冒さずに高いリターンを得られる話があれば、誰だって飛びつきますよね。
その話が無限に存在するわけではないのなら、少しでも支払うべきリターンが少なく済む人に依頼するでしょう。
あるいは、投資をする人がその話を獲得するために、競って価格を上乗せするかもしれません。
そうして、やがてリスクに見合ったリターンへと収束していくのです。
これも、一物一価の法則によく似た考えです。需要と供給にも似ていますね。

誰が話者であっても、「絶対儲かる」話はありません。
100%の確率で元手が10倍になるのであれば、誰だってその投資をします。
ただ、もしかしたらそれは、話者がめちゃくちゃ話を盛っていただけで、実は「5%の確率で元手が1000倍になる話」なのかもしれません。
これなら、100万円くらいは出してみる価値がありそうですか?

大切なのは、リスクとリターンを自分で予測して、リターンに見合うリスクなのかを考えること。
誰かの主張を参考にはしても、鵜呑みにして決断まで委ねてしまわないこと。
今回の株安のきっかけになった中国恒大集団は、理財商品と呼ばれる高利回りな商品を販売して、資金を回していたそうです。
高利回りの背景にあるのは、ハイリスクです。
生真面目に生きてきた自分だけに訪れた奇跡的な幸運ではないのです。
それを理解できなかった投資家と、そんな投資家を利用する企業が、今回の世界同時株安の元凶なのかもしれませんね。


というわけで、今週は経済に関することを簡単にご紹介しました。
私TKも今回の株安で結構な損失を生じさせましたが、デイトレーダーではないので、一日二日の損益で一喜一憂すべきではありません。
……とわかっていても、やはり自分の金融資産が目に見えて目減りすると、未だに表情がひきつってしまいますね。

それでは、またお会いしましょう!
スタッフTKでした。

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